「改正パワハラ防止法」とLGBTQ・性的マイノリティ/「SOGIハラ」ってなに?

「改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」が、今年の6月に施行(法律の効力が現実社会に適応されること)されました。

上司による嫌がらせなどの職場における「パワーハラスメント」のイメージは、より具体的に法律上、①優越的な関係を背景とした,②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により,③就業環境を害すること、と表現されています。

この「言動」のなかには、LGBTQA等の性的マイノリティの方に対するものも含まれていると解釈されます。とくに「SOGIハラ(ソジハラ)」という言い方もあります。詳しくみていきましょう。

(雇用管理上の措置等) 第30条の2事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。- 上記法律(以下同じ。)

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「SOGIハラ」ってなに?

SOGIとは、Sexual Orientation(性的志向)とGender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉です。つまり、「SOGIハラ」とは、性的志向・性自認に関するハラスメントということを意味します。


厚生労働大臣の「指針」設定・公表

(指針)  第8条厚生労働大臣は、前条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとする。

その「指針」には、どのような行為が「パワハラ」に該当すると考えられるのかが例示されています。殴打・足蹴り等の暴行・傷害、や、人格を否定するような暴言や脅迫等(刑事事件に発展する可能性もあります)は、これまでも当然、該当するとされてきましたが、さらに踏み込んで、対象が拡張されています。


「SOGIハラ」「アウティング」が明確化された

今回の法改正に伴い、職場におけるパワハラ対策が(現時点では、大企業の)義務となり、さらにSOGIハラについて、具体化されたのです。

  • 「労働者の性的志向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること」
    ➔パワハラに該当すると考えられる例として挙げられています。「アウティング Outing」という言葉をご存知の方もいることでしょう。
  • 「人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的志向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む」
    ➔パワハラに該当すると考えられる例として挙げられています。


企業の義務

パワハラ防止の社内方針の明確化と、周知、啓発を行ったり、苦情等に対する相談体制を整備することだったり、再発防止策を講ずることだったり、多くの義務が課されることになります。現代会では、大企業・自治体が対象となりますが、2022年4月からは、中小企業も”法的に”義務を果たさなければならなくなります。もっとも、今から対策をとりはじめ、少しずつ、社内の就業環境を整えていくことが大切です。


「知識」があって、はじめて多様性を受け入れることができる

私は自分に「アセクシャル」というセクシャルマイノリティのラベリングを選択していますが、ほかのセクシャリティの理解については、まだまだ勉強が足りていないと感じています。

「差別してはいけない」という”正義感”が先行してしまうと、それが義務となり、自分自身や他者を縛り付けてしまうことが往々にしてあるように思いませんか?この"義務感"が、偽善を生むのです。


理解者は、当事者ではありません。このことは、とても重要なことです。理解者は、あくまでも理解者であり、自分自身のセクシャリティを否定することは必要ありません。理解者が、当事者の苦しみを知るためのアプローチは、同一化ではなく、知識を蓄えることにほかなりません。

セクシャルマイノリティの当事者自身も、自分のセクシャリティを否定することなく、同時に、他のマイノリティを受け入れることが大切だと思います。

感情的に、どうしても違和感をぬぐえない場合もあるでしょう。しかし、この感情をもとに、他のセクシャリティを持つ人に対して、攻撃をするかどうかは、各人の判断にゆだねられていることではないでしょうか?


自分に価値を感じることは人それぞれであり、同じ人間だからといって、価値観を均一化しようとするのはエゴであって正義ではありません。「価値観の違いは肯定するけれども、その価値自体は、自分にとっては価値を見出せない」という考えこそ、否定されるべきではないのだと思います。

S.Okajima



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